20代は社会人としてのスタート時期であり、お金の使い方や増やし方が今後の人生を大きく左右します。ここでは、20代のうちに身につけておきたい資産形成の基本を10項目にまとめました。単なる知識ではなく、すぐに実践できるアクションや具体例を交えて解説します。
20代の資産形成は「金額の大きさ」よりも「仕組みの巧さ」と「時間の味方化」で決まります。早く始めるほど将来の選択肢が増え、仕事やライフイベントでの意思決定も柔軟になります。たとえば同じ年利でも、開始が5年早いだけで到達額に大きな差が生まれます。重要なのは完璧なプランではなく、今日から動き出して改善を重ねることです。最初の一歩が小さくても、積み重ねが最強のレバレッジになります。

一気に全部やる必要はありません。まずはどれか一つから取り組んでみてください!
1. 生活防衛資金を確保する
生活防衛資金は、資産形成における「安全ネット」です。これがあることで、突然の出費や収入減があっても生活を維持できます。例えば、急な転職活動や病気での休職など、収入が途絶える期間にも安心して生活が可能です。最低でも生活費3か月分、可能であれば6か月〜1年分を現金やすぐに引き出せる預金で保有しておきましょう。
- 生活費3〜6か月分を現金で確保
- 普通預金や定期預金など流動性の高い資産で保有
- 緊急時以外は絶対に取り崩さないルールを設定
生活防衛資金は「不安の源泉」に直接対処するお金です。十分な現金があるだけで、暴落時に狼狽売りをせずに済み、転職やスキル学習など将来の投資にも踏み切れます。目安は「手取り月収×3~6か月」。
家計が安定するまでの間は6か月分を目標にすると心理的な安心度が段違いです。貯めた資金は生活口座とは別の“触らない口座”に隔離し、使ったら必ず補充するルールを決めましょう。これで市場や仕事の変化に怯えない、攻めの資産形成が可能になります。

最優先で確保すべきが生活防衛資金です。投資したお金は右肩上がりで増えることは稀。株価が下がっている時に売却することを防ぐためにも、まずは生活防衛資金を貯めましょう!
2. 家計を可視化する
お金の流れを把握しないままでは、資産形成の土台が作れません。まずは支出を可視化することから始めましょう。家計簿アプリを使えば自動で分類してくれるため、面倒な入力作業を最小限にできます。記録を続けるうちに、意外な支出や無駄な固定費に気づくはずです。特に20代は交際費やコンビニでの少額支出が積み重なりやすいので注意が必要です。
- 家計簿アプリで支出を自動記録
- 支出カテゴリごとの割合を把握
- 2か月分のデータから浪費ポイントを特定
家計の可視化は「数字で自分の行動を観察する」作業です。レシート集めや完全記録よりも、まずは大まかな流れを把握することが目的。入出金の見える化が進むと、衝動買いのパターンや惰性の固定費が浮き彫りになります。月末に“家計の決算”を1ページで振り返り、「来月はここを1つだけ変える」と小さな改善目標を置くと続きます。完璧さよりも継続。数字が行動を変え、行動が残高を変えます。

ざっくりと支出の全体像を把握しましょう!家計簿アプリとクレジットカードの紐付けで支出は把握できます!意外にコンビニで使っている額が大きくてびっくりするはずです!
3. 固定費の見直し
固定費は一度見直せば、その効果がずっと続く「永久節約」です。スマホ代は大手キャリアから格安SIMに変えるだけで月5,000円以上節約できることもあります。保険もライフステージに合わない過剰な保障を見直すことで年間数万円の節約が可能です。さらに、動画配信やジムなどのサブスクも利用頻度を確認し、本当に必要なものだけ残しましょう。
- スマホ:格安SIMへの変更で月額削減
- 保険:必要最低限に見直す(掛け捨て型中心)
- サブスク:2か月以上使っていなければ解約候補
固定費は一度の意思決定で翌月以降のキャッシュフローを恒久的に改善する“買い切り型の節約”です。スマホや保険、サブスクは、契約時のまま放置されていることが多く、最初の見直しだけで年数万円が浮くことも珍しくありません。切り替え時に発生する違約金や手数料が気になっても、年間の削減額と比較すれば数か月でペイするケースが大半です。更新月や割引終了のタイミングをカレンダーに登録しておくと、次回以降はほぼ自動で見直しサイクルが回ります。
4. 無理のない貯蓄習慣を作る
貯金は「残ったら貯める」ではなく、「先に貯める」が鉄則です。先取り貯金を設定すれば、意識しなくても毎月資産が積み上がっていきます。給与日に自動で別口座に移すよう設定すれば、使ってしまう心配が減ります。また、最初は無理せず5%から始め、収入が増えたタイミングで少しずつ割合を上げていくと長く続けやすいです。
- 給与振込口座から自動振替設定
- 昇給やボーナス時に貯蓄額を増額
- 「使い切らない」仕組みを作る
貯蓄は「意思」ではなく「仕組み」で決まります。給料日に自動で貯蓄口座へ移す“先取り”を設定すれば、残りを使うだけなのでストレスが激減します。最初から高い比率を狙うと反動が出やすいので、5~10%から始め、昇給やボーナス時に“上げ幅の半分を貯蓄へ”とルール化すると自然に貯蓄率が上がります。臨時出費に備えた“年1回の大型支出用小口”も別で用意すると、貯蓄を崩さずにやりくりでき、達成感が続きます。

パーキンソンの法則って知ってますか?給料が増えると比例して支出も増える的なやつです。なので、お金が余ったら貯金しよう!では、お金は貯まりません!!!先取り貯金をする仕組みを作って、強制的にお金を貯めましょう!
5. 積立投資を始める
20代から積立投資を始めれば、時間を味方につけられます。新NISAなら年間360万円までの投資利益(生涯1,800万円まで)が非課税です。投資先は手数料の低いインデックスファンドが基本。世界全体(オルカン)や米国株(S&P500)に連動する投資信託が人気です。月1万円でも20年続ければ、複利の効果で大きな資産になります。
- NISAの上限30万円を目指す必要はない|無理のない範囲で積立
- 低コストインデックスファンドを選択
- 毎月の自動積立設定で継続
金額を固定した積立投資はドルコスト平均法とも言われますが、「価格が高い時は少なく、安い時は多く買う」を自動で実行してくれる仕組みです。インデックスファンドを選ぶ際は、信託報酬の低さ、純資産の十分さ、長期で指数にしっかり連動しているか(トラッキングの安定)を確認しましょう。銘柄選びに迷うなら、まずは世界株式やS&P500などの王道から。開始時点の最適解よりも“続けられる設定”が最適解になります。積立額は年1回、家計の余力に合わせて少しずつ増やすのがおすすめです。

私はオルカンを積立購入しています。人類の成長に投資!というイメージですね!今後何があっても人類は発展していくと信じているので、全世界に幅広く投資をしています。
6. 投資のリスクを理解する
投資は利益を狙う一方でリスクも伴います。短期的には価格が下落することもありますが、長期的には成長が期待できる資産に分散して投資することが重要です。リスクを減らすには、株式だけでなく債券や現金など複数資産を組み合わせることも有効です。また、生活費や生活防衛資金には絶対に手を付けないルールを徹底しましょう。
- 短期の値動きに惑わされない
- 複数資産クラスへの分散投資
- 余剰資金で運用
投資のもっとも大きなリスクは「自分の感情に振り回されること」です。短期の値動きは誰にも読めないため、ルール外の売買をしない誓約(投資方針書)を1枚で作ると効果的です。暴落時の行動も事前に決めておきましょう。「売らない」「積立は止めない」「余剰があれば買い増す」。資産配分は、睡眠を妨げない比率が正解です。夜ぐっすり眠れる配分が、長期で最も高いリターンを運んできます。
7. 複利の力を知る
複利とは、得られた利益を元本に加えて再び運用し、その利益にもまた利益がつく仕組みです。20代から長期で運用すれば、30年後には元本の数倍にもなります。例えば年利5%で毎月3万円を30年間積み立てると、元本1,080万円が約2,490万円になります。時間が最大の武器なので、少額でも早く始めることが成功のカギです。
- 利益は再投資して複利効果を最大化
- 投資期間は長く確保する
複利は“時間が作る報酬”です。序盤は増え方が緩やかでも、一定のラインを超えると増加が加速します。これは元本ではなく「運用期間」が主役であることを意味します。開始が5年遅れると、最終到達額の差は想像以上です。だからこそ、完璧に整えてから始めるのではなく、まずは小さく始めて継続すること。再投資を止めず、余力が生まれたら積立額を少しずつ引き上げる。シンプルですが、これが複利を最大化する王道です。

マジックナンバー72を覚えてください!72を年利で割ると、2倍になるまでかかる年数がおおよそ計算できます。例えば、年利5%なら14年強ですし、年利7%なら10年強という具合です。
8. 保険は必要最低限に
日本の社会保障制度は非常に手厚く、高額療養費制度や傷病手当金などが利用できます。そのため、20代で独身なら高額な生命保険は不要なことが多いです。必要なのは最低限の医療保険や就業不能保険程度。貯蓄型保険よりも掛け捨て型を選び、保険料を抑えてその分を投資や貯蓄に回す方が合理的です。
- 社会保障制度の内容を理解する
- 必要最低限の保障のみ加入
- 保険料を削減して運用資金へ
保険は「頻度は低いが起きたら困る事態」を金銭で移転する仕組みです。若いうちは公的保障でカバーできる部分が大きく、過剰な民間保険は資産形成のブレーキになりがち。貯蓄機能をうたう保険も、手数料や途中解約リスクを含みます。まずは公的制度の範囲を把握し、どうしても不足する大きなリスクだけを掛け捨てでカバーする。これが20代の合理的な選択で、浮いた保険料が将来の資産の差になります。

貯蓄型保険は投資と保険がセットになった割高商品です。分解して、保険部分は掛け捨て保険で備え、残りはNISAで投資した方が10年後のリターンは大きくなります。
9. 副業やスキルアップで収入源を増やす
節約だけでは資産形成に限界があります。副業やスキルアップで収入源を増やすことも重要です。Webライティング、プログラミング、動画編集、ブログ運営などは初期費用も少なく始められます。資格取得や語学習得も将来の昇給や転職の武器になります。特に20代は時間と吸収力があるため、今の努力が10年後の収入差に直結します。
- 副業で毎月+1〜5万円を目指す
- スキルアップで年収アップを狙う
- 余剰収入は投資や貯蓄へ
支出削減には限界がありますが、収入の上限は自分次第です。副業やスキル投資は「年収の逓増カーブ」を作る行為。最初の3か月は成果が出なくても、積み上がったスキルは翌年以降に複利で効きます。小さな案件でも実績として積み、学びの記録を残しましょう。転職や昇給の交渉材料にもなります。増えた収入は生活水準を上げず、固定費を据え置いたまま投資へ回す—これが資産形成を最速で加速させるコツです。

ただし、今年就職したばかりという方は、本業にフルコミットした方がトータルリターンは大きくなると思います。死に物狂いで仕事をしたという経験は後々資産になることが多い(と感じています)。

仕事にも慣れて本業では上を目指せないかな?と思えてきたあたりで副業に注力するのが個人的にはおすすめ。やっぱり本業を通じたスキルや人的資本は大事だと思います。他人に認められるという経験も自己効力感を高めてくれますし。
10. 継続と習慣化がすべて
資産形成は短期勝負ではなく長期戦です。一度仕組みを作ってしまえば、あとは自動化で習慣化できます。例えば「給与の10%は自動で投資」「カード利用は家計簿アプリと連動」など。感情に左右されず、続けることで確実に資産が増えていきます。10年後に振り返ったとき、その差は驚くほど大きくなっています。
- 仕組み化と自動化で習慣化
- 感情に左右されないルール作り
続けるためのコツは「ハードルを極限まで下げること」です。たとえば積立は最低金額から、家計の振り返りは月15分だけ、というように始めます。中断しても“仕組み”が動いていれば資産は積み上がりますし、再開も簡単です。完璧主義は挫折のもと。小さな前進を毎月の“定例行事”にし、年に一度だけ全体を見直す。将来の自分を助けるのは、派手な一発逆転ではなく、静かな継続です。

習慣にしてしまえば、逆にやらないことが不快になります。習慣にするには今ある習慣に紐づけるのがおすすめ!

毎日やることなら、「歯磨きをしている間に」とか、週1回行うことなら「毎週末の買い出しのついでに」とかです。
この10項目を意識して行動すれば、20代のうちに強固な資産形成の基盤を築くことができます。そして、節約や収入増で生まれた余剰資金は、インデックス投資や積立NISAなどの長期投資に回すことで、複利の効果を最大限活用できます。