投資を始めた人なら一度は夢見る「配当金だけで生活」。 毎月、自動的にお金が口座に入ってくるなんて、まさに不労所得の理想です。 しかし、本当にそれは現実的なのでしょうか?
配当金生活は、サラリーマンを辞めて悠々自適に暮らすイメージがあり、多くの投資家が一度は考えるゴールです。
しかし、実際には税金や生活費の変動、減配リスクなど、甘い話ばかりではありません。
本記事では、単なる夢物語ではなく、数字で裏付けた「現実的な配当金生活シナリオ」をお伝えします。

前提として、私は高配当株(個別株)の売買は今は行わず、オルカン全ツ!趣味でSCHDという感じですが、Xを始めて高配当株のツイートしている人をよく見る中で、いいなーと思うところもあるのでシミュレーションしてみました。
配当金だけで生活するための前提条件
まずは、生活費と配当利回りを設定します。
- 生活費:月25万円(年間300万円)
- 配当利回り:年3%、4%、5%の3パターンで計算
- 税金:国内株の場合は約20.315%の税金がかかる
生活費の設定は非常に重要です。例えば家族構成や居住地域によって必要額は大きく変わります。
都市部で持ち家ローンなし・車なしの単身生活なら月20万円で可能かもしれませんが、地方で車2台+家族4人なら月30〜40万円が必要になるケースもあります。
また、配当利回りは安定的に得られる数字を想定すべきで、「過去最高の利回り」を基準にすると減配時に生活が苦しくなります。

NISA枠内であれば配当金も非課税ですが、厳しめに見るというところでNISA枠はよこに置いてます。多分、私はオルカンでNISA埋めるんじゃないかな?というところもあるんですよ。

実際、NISA枠を高配当株で埋めれば税金ゼロで受け取れるので効率は良くなります。ただし、NISA枠は限られており、全額を高配当株に充てると分散不足になるリスクもあります。
そのため、私は長期成長が見込めるオルカンでNISAを埋め、配当投資は特定口座や余剰資金で行う形を想定しています。
必要な元本の目安
税引後で年間300万円の配当を得るためには、税引前では約377万円の配当が必要です。 配当利回りごとの必要元本は次の通りです。
配当利回り | 必要な年間配当額(税引前) | 必要元本 |
---|---|---|
3% | 約377万円 | 約1億2,566万円 |
4% | 約377万円 | 約9,425万円 |
5% | 約377万円 | 約7,540万円 |
つまり、年5%の高配当株に投資できても、7,500万円以上の元本が必要になります。 年3%なら1億2,000万円超と、かなりハードルが高いことがわかります。
この試算を見ると、配当生活のハードルの高さがよくわかります。
例えば、20代から年利4%で年間200万円積立すれば30年後に元本約6,000万円、運用益を合わせて1億円超を目指すことは可能ですが、それでも時間と継続的な積立が必要です。
また、インフレによって生活費が上がれば、必要元本もさらに増えます。物価上昇率2%が続けば、20年後には生活費は約1.5倍になる計算です。
現実的なシナリオは「生活費の一部を配当でまかなう」
元本を1億円以上用意するのは、多くの人にとって現実的ではありません。 そこでおすすめなのは、「生活費の全額」ではなく「一部」を配当でカバーすることです。
たとえば、生活費のうち月5万円を配当でまかなう場合、必要な元本は以下の通りです(年4%想定)。
- 年間配当額(税引前):約75万円
- 必要元本:約1,875万円
この金額であれば、数十年の長期投資や積立で目指すことが可能です。
配当で生活費の一部をカバーできれば、精神的な余裕は大きく変わります。
例えば、月5万円を配当で得られれば、年間の生活費は60万円削減できます。これは週休3日への移行や早期退職を検討する際の大きな支えになります。
完全リタイアを目指すのではなく「働く時間を減らすための配当金」という発想も現実的です。
高配当株投資の注意点
- 減配リスク:業績悪化で配当が減る可能性がある
- 集中投資リスク:高配当株は特定セクターに偏ることが多い
- 成長性の低下:高配当株は株価成長が鈍い場合がある
- 管理コスト:完全にほったらかし・・・はできない
配当金生活を目指す場合でも、株価の値上がり益や債券など他の資産との分散投資が重要です。
減配リスクは特に要注意です。過去には安定配当を誇っていた企業でも、業績悪化で無配に転落した例があります。集中投資によってセクターリスクを抱えると、特定業界の不況時に配当も資産価値も同時に下がる危険があります。
また、配当投資は成長株に比べると値上がり益が小さくなる傾向があるため、資産の増加スピードは遅くなります。
「完全放置」は難しく、企業の業績や配当方針のチェックは欠かせません。

よく例に挙がるのが「東京電力」です。インフラ系最強の高配当株で東京電力全力の人もいるみたいですが、震災以来無配転落し、株価もかなり下がっています。これを予想するのは極めて難しいので、対策するとしたら銘柄・セクター分散を行うしかありません。
まとめ
- 配当金だけで生活するには数千万円〜1億円以上の元本が必要
- 現実的には生活費の一部を配当で補う形が現実的
- 高配当株投資は減配や集中投資のリスクに注意
配当金生活は確かに魅力的ですが、多くの人にとっては長期戦です。
まずは生活費の数%〜数十%を配当でカバーする目標から始め、徐々に元本を増やしていく戦略が現実的です。
その過程で、配当と値上がり益のバランスを取りながらポートフォリオを調整することが、安定した「半配当生活」や「準FIRE」への近道になります。

よく言われるのは、アクティブ投資はインデックス投資に勝てないということ。これは、ファンドの場合であって個人には必ずしも当てはまらない・・・とは思いたいところですが、敗者のゲームでは個人も勝てていないと載っています。

自分にセンスがあれば勝てるかもしれませんが、私は自分に投資センスがないことを自覚しているので、素直にインデックス投資をして積み立てたいと思います!