株式市場は常に変動しており、時に急激な暴落に見舞われることがあります。特に2024年8月のような大暴落が起こると、多くの投資家はパニックに陥り、手持ちの株を売却して損失を確定させてしまいがちです。
しかし、実は暴落時に株を売却することは、長期的に見ると大きな機会損失を招く可能性があります。今回は、暴落時でも株を売却してはいけない理由について詳しく解説します。
セクション1: 暴落は一時的なものである
歴史的に見て、株式市場の暴落は一時的なものであることがほとんどです。例えば、2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックでは、市場が大幅に下落しましたが、その後数年間で回復し、さらには以前の水準を超える成長を見せました。
直近20年間に発生した主要な暴落とS&P500の下落率、回復に要した期間をまとめてみます。
発生年 | 暴落の名前 | 主な原因 | 下落率(主要指数) | 回復に要した期間 |
---|---|---|---|---|
2008年 | リーマンショック | 米国サブプライムローン問題、リーマン・ブラザーズ破綻 | S&P500: -53% | 約5年 |
2011年 | ユーロ危機 | ギリシャ財政危機を発端とした欧州債務危機 | S&P500: -19% | 約6カ月 |
2015年 | 中国株ショック | 中国経済減速懸念、上海株の暴落 | S&P500: -12% | 約1年 |
2018年 | 世界同時株安 | 米中貿易戦争、米国金利上昇懸念 | S&P500: -20% | 約1年 |
2020年 | コロナショック | 新型コロナウイルスのパンデミック | S&P500: -34% | 約6カ月 |
2022年 | ウクライナショック | ロシアのウクライナ侵攻、エネルギー危機 | S&P500: -25% | 約2年 |
こちらがS&P500の全期間のチャートです。そろぞれの暴落のタイミングで下がっていることがわかります。
2008年のリーマンショックの際には最大で株価が半値になっていますが、その様子もわかります。

しかし、今の水準と比較すると、ずいぶん低いところでの動きのように見えます。また、回復には5年間を要したものの、その後は順調に株価が上昇し、2008年の暴落前と比較しても、2024年の高値と比較すると、3倍近くにまで上昇していることがわかります。
このように、暴落は一時的なものであり、市場は長期的に見れば回復する傾向があります。暴落時に売却してしまうと、その後の回復による利益を逃してしまうのです。

S&P500やオルカンなどの指数に投資する場合、紙切れになるリスクがないため、何があっても淡々と買い続けるということが重要です。暴落が起きても回復してきています。
セクション2: 感情的な判断を避ける
暴落時に株を売却してしまう最大の理由は、投資家がパニックに陥り、感情的な判断をしてしまうことです。人間の心理として、損失を目の当たりにすると「これ以上損をしたくない」という感情が強くなり、冷静な判断ができなくなります。
しかし、感情に基づいた判断は、往々にして誤った選択につながります。例えば、2024年8月の暴落では、多くの投資家が慌てて売却しましたが、その後の数日間で市場は部分的に回復しています。感情に流されず、長期的な視点で投資を続けることが重要です。

投資をする場合は、あらかじめシナリオを想定し、事前に行動を決めておくべきです。S&P500やオルカンなどの指数に投資する場合、「買い続ける」という選択だけでOKです。
セクション3: 積立投資のメリットとドルコスト平均法の効果
暴落時こそ、積立投資を続けることが重要です。積立投資には「ドルコスト平均法」という効果があり、市場が下落している時に安い価格で購入することで、平均購入単価を下げることができます。
- ドルコスト平均法の例: 毎月1万円で投資信託を購入する場合、価格が高い時は少ない数量を購入し、価格が安い時は多くの数量を購入します。これにより、長期的には平均購入単価が下がり、市場が回復した際に大きな利益を得やすくなります。
暴落時は、むしろ投資のチャンスと捉え、積立投資を継続することが賢明です。

ドルコスト平均法は仕組みは単純ですが、効果は絶大です!安い時に多く買って、高い時には購入量を減らすということをNISAで積立設定を行うだけで実現できてしまうのですから。
暴落の後には、急速な回復があることが多いです。
2008年のリーマンショックこそ回復に5年を要しましたが、その間ドルコスト平均法で淡々と毎月購入していれば、平均取得単価が下がって、もとの水準に戻るだけでかなりの利益が出ていたことになります。
一括投資と積立投資のどちらがリターンがいいか?という問いの答えは「一括投資のほうが期待値が高い」という結論が出ていますが、積立投資(ドルコスト平均法)が劣っているということではありません。
むしろ、投資初心者にとっては、考え方次第で積立投資のほうが旨みがあります。
- 株価下落:安く多く買えて嬉しい
- 株価上昇:評価額が上がり資産が増えて嬉しい
ということで、どう転んでも自分にとってプラスであると解釈できます。
一括投資の場合、トータルで資産が増える期待値は高いですが、暴落時に大きく評価額を減らすことになるので、明確なルールを決めておかないと精神的に揺らいでしまうかもしれません。
その点、積立投資の場合、証券会社のHPで一度積立設定をしてしまえば、証券会社のHPに頻繁にアクセスする必要がないため、暴落したとしてもそもそも暴落したことに気づかないです。

一度積立設定をしておけば極端な話、あとは放置でも問題がなく投資に時間を取られないということも大きなメリットです!
セクション4: リスク資産と無リスク資産のバランスを確認する
暴落に備えて、自分の資産配分を見直すことも重要です。リスク資産(株式や投資信託)と無リスク資産(現金や国債)のバランスを確認し、リスク許容度に応じて調整しましょう。
- 資産配分の目安: 一般的には、「120-自分の年齢」をリスク資産の割合とするのが目安です。例えば、40歳の場合、リスク資産の割合は80%程度が適切です。
適切な資産配分を維持することで、暴落時の心理的負担を軽減できます。
ただし、この方法だと20代の場合はほぼ全てがリスク資産になってしまいます。また、前提として、生活防衛資金は確保した上で、残りのお金について資産配分を検討するという考え方が大事です。

仮に、貯金:100万円、生活防衛資金が60万円必要という方の場合、資産配分の割合を検討する対象は、100万円-60万円=40万円ということになります。
流石に100%を投資に突っ込むというのは生活資金がなくなってしまうので、手元に10万円だけ残しておいて30万円を投資対象とするとかの柔軟性は必要です。
また、ドルコスト平均法を生かして積立投資を行うことが投資初心者にはおすすめです。
30万円を1年間で投資する場合、毎月の収入から貯蓄・投資に回せる分も考慮して、年間36万円を投資に回すと仮定。
36万円/年➗12=3万円/月
ということで、毎月3万円づつ積立投資を行う。
というように計画を立てて積立設定を行うのがいいでしょう。

若い間は積極的にリスクを取って行っても挽回ができます!少額でもいいのでまずは投資を始めましょう!
結論: 慌てずに投資を続けることが重要
暴落は一時的なものであり、市場は長期的に見れば回復する傾向があります。暴落時に慌てて売却してしまうと、その後の回復による利益を逃してしまうだけでなく、心理的な負担も大きくなります。
- 感情的な判断を避け、長期的な視点で投資を続ける。
- 積立投資を活用し、ドルコスト平均法の効果を最大限に活かす。
- リスク資産と無リスク資産のバランスを確認し、リスク許容度に応じた資産配分を維持する。
- 好業績銘柄や連続増配銘柄に投資し、長期で安定したリターンを目指す。
暴落は投資家にとって試練ですが、正しい知識と戦略を持って対応すれば、むしろチャンスに変えることができます。慌てずに行動し、長期的な資産形成を目指しましょう。