インデックス投資は「長期・分散・積立」を軸とする王道の資産形成手法です。しかし、株価が急騰すると「今が売り時では?」と考える人も少なくありません。短期的な利益確定は魅力的に映りますが、インデックス投資家にとってはむしろリスクが大きい行動です。この記事では、なぜ株価高騰時に売却してはいけないのかを解説します。
1. 長期投資の複利効果を失う
インデックス投資の最大の武器は「複利の力」です。株価が高騰したタイミングで売却すると、その後の成長分を逃してしまい、複利効果が大きく削がれます。例えばS&P500のような指数は、長期的に右肩上がりで成長してきました。短期の利益を取る代わりに、数十年後の大きなリターンを手放すことになりかねません。
複利効果とは「利益が利益を生む」仕組みであり、投資家にとって最大の武器です。特にインデックス投資では、数%のリターンが数十年後には大きな差を生み出します。例えば、年5%で30年間運用すると元本は約4倍になりますが、途中で売却して数年間運用を止めれば、この効果は大きく損なわれます。短期的な利益確定は一見合理的に見えても、長期的には「未来の利益を犠牲にする行為」であることを理解することが大切です。

株価が最高値になるということと、天井ということは似ているようで否なるものです!

2. 市場のタイミングを読むのは不可能
「天井で売って底で買う」というのは理想ですが、プロの投資家でもほぼ不可能です。高騰したと思って売った後にさらに株価が伸びることも珍しくありません。結果的に、売却しなければ得られた利益を逃す「機会損失」につながります。インデックス投資はタイミング投資ではなく、市場全体の成長に乗り続ける投資法です。
インデックス投資のメリットとして、タイミングを測る必要がないということがあります。
それなのに、多少利益が出たところで売却してしまうor積立をやめてしまうということは結果的にリターンを少なくすることになります。
「天井で売って底で買う」という戦略が理想に見えるのは事実です。しかし、過去のデータを見ると市場の「天井」と「底」を正確に捉えることはプロのファンドマネージャーでさえ困難であると証明されています。実際、相場から一時的に離れてしまうと、長期リターンの大半をもたらす「稲妻が輝く瞬間(急騰の数日)」を逃してしまうリスクが高まります。つまり、タイミングを読もうとする行為自体が、インデックス投資の本質から外れるのです。

市場のタイミングを測ることはやめましょう!
3. 高騰時はむしろリスク分散を意識すべき
株価が高騰すると「利益を確定したい」という心理が働きますが、インデックス投資家にとって適切なのは売却ではなくリバランスです。例えば株式比率が上がりすぎたら債券や現金を増やすことでリスクを調整できます。長期投資の軸を崩さずにリスク管理することが重要です。
株価が急騰すると、ポートフォリオの中で株式の割合が過度に高まることがあります。このとき必要なのは「売却」ではなく「リバランス」です。例えば、株式70%・債券30%を目標にしている投資家が高騰で株式比率80%になったなら、債券や現金を増やして調整する、というのが正しい対応です。ただし、リバランスは「市場が高いから」「今が安いから」といった感覚で行うべきではありません。1年ごと、または一定の乖離が生じたときに機械的に実行することが、ブレない投資を続ける秘訣です。
ただし、値頃感のリバランスは禁物です。
高値更新時のリバランスは、株式比率を減少させることに他なりません。

リバランスは市場動向ではなく、期間を定めて一定間隔で機械的に行う必要があります。
リバランスの名の下の値頃感利益確定はやめましょう!
4. 感情に左右される投資は失敗のもと
投資で最も避けるべきは「感情に基づく判断」です。株価高騰に浮かれて売却するのは、相場の波に感情で乗っているだけにすぎません。インデックス投資は冷静さを保つことが成功の秘訣であり、ルールに従い続けることで成果が得られます。
人間はどうしても「恐怖」と「欲望」に支配されやすく、これが投資の最大の敵になります。特に高騰局面では「もっと利益を確定したい」という欲望が働き、売却を急ぎがちです。しかし、それは長期投資の基本戦略を崩すだけでなく、その後のさらなる成長を逃す原因になります。感情を排除するためには、「長期保有を前提とする」「自動積立に任せる」といった仕組みを整えることが重要です。冷静にルールを守ることが、最終的に資産形成を成功へと導きます。

NISA口座で積立購入設定をしたら年に1回の積立額の見直しだけでいいと思います。
5. 歴史が示す「高値圏でも売るべきではない理由」
過去の株価データを見ると、暴落や調整を経ても長期的には上昇してきました。もし2008年のリーマンショック直前に売却していれば、その後の大きな回復と10年以上にわたる上昇相場を逃していたことになります。歴史的に見ても、インデックス投資において「売らずに持ち続ける」戦略が最も高い成果を残してきました。
株式市場の歴史を振り返ると、「最高値をつけたから売る」という行動がいかに無意味かが分かります。例えば2000年のITバブル、2007年のリーマンショック前、2020年のコロナショック直前――いずれの局面でも、最高値を記録した後に暴落が起きました。しかし、その後の長期的な成長は過去の最高値を大きく超えています。もし最高値の時点で売却していれば、その後の回復と成長の恩恵を受けられず、大きな機会損失となっていたでしょう。歴史が繰り返し示しているのは「市場は常に最高値を更新し続けてきた」という事実です。

「最高値後に売却し、底値で購入」ということができれば理想ですが、現実は「売ったはいいけど買い場がなく、指を加えてみている間に次の最高値更新」となったら悲しいですよね・・・
まとめ:インデックス投資は「持ち続けること」が成功の鍵
株価高騰時に売却すると、一時的な利益は得られても、長期的な成長を逃すリスクが大きいです。複利の力、市場全体の成長、リスク分散、そして感情を排した運用――これらを守ることでインデックス投資は成果を発揮します。株価の上下に一喜一憂するのではなく、「売らずに持ち続ける」姿勢こそが、将来の資産形成を確実にしてくれるのです。
インデックス投資の本質は「市場全体の成長を信じて持ち続けること」です。短期の売買を繰り返すと、結局は市場の平均以下の成績に終わるリスクが高まります。むしろ「売らない」「積み立てを止めない」ことで、複利効果と市場の成長を丸ごと享受できます。株価の高騰は「市場の強さ」を示すサインであり、売却の合図ではありません。冷静に長期視点を保ち、未来のリターンを手放さない姿勢こそ、インデックス投資の最大の成功法則です。

20年後の爆益を信じて、人類の成長を信じて、今は淡々と積立購入を一緒に継続しましょう!