ニュースで「金利が上昇した」という言葉を耳にすることが増えました。しかし、投資信託を始めたばかりの人にとっては「金利が上がると投資信託はどうなるの?」と疑問に思うかもしれません。この記事では、金利と投資信託の関係を初心者向けにわかりやすく解説します。
金利上昇とは何か?
金利上昇とは、銀行預金や国債などに対して支払われる利息の水準が上がることを意味します。背景にはインフレ(物価上昇)や中央銀行の政策変更があります。たとえば、日本銀行やアメリカのFRBが政策金利を引き上げると、市場全体の金利も上がっていきます。
金利の動きは経済全体に広く影響します。住宅ローンや自動車ローンの金利も上がるため、私たちの生活に直結する要素でもあります。投資信託の値動きを理解するうえで、金利動向は外せないチェックポイントです。
金利上昇が投資信託に与える影響
1. 債券型投資信託への影響
金利が上昇すると、既存の債券の価格は下落します。なぜなら、新しく発行される債券の利回りが高くなるため、古い低利回りの債券の価値が相対的に下がるからです。そのため、債券型投資信託は金利上昇局面で評価額が下がりやすい傾向があります。
ただし、債券は満期まで保有すれば額面で返ってくる仕組みがあります。投資信託はその途中で時価評価されるため価格変動が大きく見えますが、長期的に見ると金利上昇後に組み込まれる債券は利回りが高く、将来的にはプラスに働く可能性もあるのです。

金利と債券価格はシーソーのように例えられることが多いですね!
2. 株式型投資信託への影響
株式型投資信託も間接的に影響を受けます。金利が上がると、企業の借入コストが増えるため業績にマイナス影響を与えることがあります。また、将来の利益を現在価値に割り引くときの割引率が上がるため、成長株(特にハイテク株)の株価が下がりやすくなります。
一方で、金融株や資源株などは金利上昇で恩恵を受けるケースもあります。つまり、株式市場全体が一律に下がるわけではなく、セクターごとに影響は異なるのです。株式型投資信託は分散されているため、一部の業種が支えになる可能性もあります。

一律に下がるわけではないとはいえ、基本的には金利上昇=株価下落の方向性に働くことが多いです。
3. バランス型投資信託への影響
株式と債券を両方組み合わせたバランス型投資信託は、どちらの影響も受けます。ただし、分散されているため一方的な下落を和らげる効果も期待できます。
また、リスク許容度に合わせて債券比率を増減できる商品も多くあります。金利上昇局面に不安を感じる場合は、バランス型の比率を活用することで安定感を高めることが可能です。

そもそもバランス型の投資信託が投資初心者に必要か否かという話もあります。資産規模がそこまで大きくない場合は、債券は考えずに現金と株式(投資信託)のシンプルポートフォリオでいいと考えています。
金利上昇時に投資信託をどう考えるべきか?
長期投資なら慌てない
金利は経済状況によって上下するため、短期的な値動きを予測するのは難しいです。長期で積み立て投資をしている場合は、一時的な下落に慌てず続けることが大切です。
特に積立投資では「ドルコスト平均法」によって価格変動リスクを平準化できます。安いときに多く買い、高いときに少なく買う仕組みになるため、結果的に平均購入単価を下げる効果が期待できます。

今後、20年〜30年程度持ち続けることを考えるのであれば、その間の金利変動なんて波みたいなものです。上がっては下がるのでは一喜一憂する必要はありません。
インデックス投資は有効
全世界株式やS&P500などのインデックスファンドは、個別の金利動向よりも「世界経済全体の成長」によってリターンを得る仕組みです。金利上昇局面でも長期的に見れば右肩上がりを期待できます。
過去のデータを見ても、金利が上がる局面があっても長期で積み立てた投資家は資産を大きく増やしてきました。「金利の一時的な上昇」は世界経済の長期的な成長の前には小さなノイズに過ぎません。

歴史的にみれば、結局は右肩上がりで株価は上がってきています。金利を変動させる側も結局は株価を見ているので、長い目で見れば多少の変動は問題ありません。
債券型を買うなら注意が必要
金利が今後さらに上昇する局面では、債券型投資信託は短期的に不利になりやすいです。ただし、長期で見れば「利回りが高い新しい債券」が組み込まれるため、徐々に有利になっていく側面もあります。
初心者は「金利が上がった=債券は危険」と短絡的に考えず、商品ごとの組み入れ債券や運用方針を確認することが重要です。長期保有を前提にすれば、債券投資にも安定資産としての役割があります。

この記事を見ていただいている方は投資初心者だと思うので、そんなあなたには債券はいらないと思います!私ももっていません!
まとめ:金利上昇=必ずしも悪ではない
金利上昇は投資信託にとって短期的にはマイナスに働くことがありますが、長期の資産形成においては一時的な値動きにすぎません。大切なのは、焦って売却せず、積み立てを継続することです。特に20代・30代の投資家は「長期・分散・積立」の基本を守ることで、金利変動に振り回されず資産を増やしていけます。
また、金利上昇は預金の利息が増えるなど、必ずしもデメリットばかりではありません。投資信託に加えて現金や定期預金を組み合わせることで、全体のバランスをとることもできます。
投資は経済環境に左右されますが、コツコツと積み立てを続けることが最も堅実な戦略です。金利上昇のニュースが気になっても、基本方針をぶらさずに続けていきましょう。

